深夜ー。Verdi 歌劇《運命の力》序曲 クラリネット旋律を聴きながら。
二十有余年前、大学生だった私は、夜中の仙台のアーケード街を独りであてもなく歩いていた。
その街には、高校生以前の自分を知る人間はひとりもいなかった、
それは、この街においては、18歳までの私が存在しなかったも同然だ。虚無。
楽器にさわってみたり、ドストエフスキーを読んでみたり。
それでも生の実感がなく、23歳で大学院を去る。
・・・
それから月日は流れ、いつしか学生時代の事など忘れ、仕事場と家を往復する日々。
生活、というものにのみこまれる。
そして、四月に父が亡くなった。
ほんとうに、死は存在するのだ。
時空を超えたこの深夜に、どこかの雇われ人でもない、ただの私が顔をだす。
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